dissimilisは,日本の南西諸島(奄美諸島,トカラ列島,沖縄諸島)特産で島ごとに変異をもつアマミノコギリクワガタのグループ(Prosopocoilus dissimilis GROUP)を指しています.奄美大島が基産地であり現在は七亜種に分類されています.
本土産や黒島ノコギリなどの種を含む本土系ノコギリクワガタ(Prosopocoilus inclinatus プロソポコイルス インクリナトゥス)とは異なった種であるとして,このような学名が付けられたそうです.
その中で人気があり入手もしやすいアマミノコギリ( dissimilis dissimilis)とトカラノコギリ( dissimilis elegans)の累代飼育の記録や標本作成を行なっています.この二亜種に共通の特徴として強い湾曲の出現する顎と,筐体の細さとが組合わさった個体の絶妙なバランスの良さ美しさがあります.
アマミノコギリは家族友人に頼み天然個体を採集してもらえますが,トカラノコギリに至ってはすでに採集が禁止され天然品が入手できなくなってしまっています.CB個体で累代を続ける以外に選択肢がなく厳しい状況でありますが,この二種は上に挙げたような特徴の魅力が素晴らしく,いつまでも飽きません.大型を作り出すことはなかなかできていませんが、独特な大顎の形状やトカラノコギリの美しい体色をご覧いただき、彼らの魅力を感じていただければ幸いです.
トカラノコギリ( dissimilis elegans)をブリードする楽しみの一つとして,生息するそれぞれの島(口之島,中之島,諏訪之瀬島,悪石島,臥蛇島)ごとのハッキリと分かる変異は果して存在するのか?というテーマ(の追求)があります。
天然採集された個体をランダムに多数並べた写真集を眺めていると,たしかに顎の形状,体形の太細や体色黄橙の強弱などに若干の傾向が見られます.
これがブリードモノとなると(採集禁止されてから既に20年以上経ちましたが),それぞれの飼育者の方々の嗜好と言うか,好ましいと受け入れられる形状が厳選され淘汰されていったのでしょうか.結果,それぞれの島特有の形の良さ(と考えられているもの)が相当に強調されて個体群として残されてきているように思います。
個人的な感想ですが現在ネットで流通しているのは,例えばヤフオクなどを拝見していると昔に比して非常にレベル?が高いと思います。
海洋堂やその他たくさんのフィギュアの素材として色々な造形が楽しめます。符節の細かな造形までは期待できませんが,顎周辺の再現の拘り方はなかなか素晴らしいものがあります.
オレンジ型
黒化型
赤褐色
黒化型
本土型
三齢幼虫
赤褐型
通常の黒型
上の dissimilis について にて紹介した中之島71の系統でとても美形な顎をもつ73が2019年に羽化していました。ガシャポンで紹介した顎形にとても似ています。体色もオレンジ色が強く出ており、このままプラモデルにして売り出してしまいたいくらいの美形でした。